こんにちは、グラフィックレコーダーのあかりんです!
会議や講演を絵や図で整理するグラレコことグラフィックレコーディング。
今回のテーマは「目的別に見るグラレコの特徴とメリット」です。
- グラレコの意味とは?
- 目的に応じたグラレコの種類とは?
- 理想のグラレコってなんだろう?
この記事では上のような内容を中心に、絵が苦手だった私がグラレコやイラストを仕事にできるようになった経験を踏まえて、お伝えします!
この記事のおすすめの読者
- グラレコを見かけるけど、結局何が良いのか分からない
- グラレコを始めてみたけど、役に立っているのか自信がない
- 目的や意図を持って、堂々とグラレコがしたい
グラレコとは
はじめに、グラレコとはどういうものなのかについて、改めてご説明します。グラフィックレコーディングとは、その名の通り、議論や話の内容を絵や図(グラフィック)を用いて整理していく(レコーディング)ことを言います。
また、一言に「グラレコ」と言っても様々な種類があります。グラレコを何のためにするのか、誰が見るのか、誰に向けて描くのか、描き終わった後は何に使われるのか、どんな風に描いていくのか、などに応じて理想のグラレコの形は変わってきます。
だからこそ、誰のため?何のため?何に使う?といったような目的を持つことが大切です。以下の記事でもグラレコにおける目的を持つことの重要性が紹介されています。
グラレコを描くときに大切なのは、誰のためになにを描こうとしているのか、目的を考えながら描くことです。グラレコをするときには描く理由や目的を、いま一度じっくり考えてみましょう。
グラレコとは?について、もっと知りたい方はグラレコとは|超初心者が1年半、ひたすら描き続けてみたもご参照ください!
目的別に見るグラレコの特徴
ここでは、目的別に見るグラレコの特徴について整理していきます。グラレコの目的として主なものを下記にピックアップしました。それぞれ目的別にどのようなグラレコが適切なのかを整理していきます。
要点を整理するため
会議や講演を聞いて、それらの要点をわかりやすく整理するために行います。例えば「2時間の会議、結局要点は何だったんだろう?」といった場合に、完成したグラレコを見た人が、大まかな話の流れや要点を掴むことができることを目的とします。
要点を整理することを第一目的とする場合、大切なのは要点がすぐに見てわかる状態に整理されていることです。そのため、リアルタイムで描いていくことよりも、事前に話の流れをヒアリングしておくことや、会議の終了後、改めて主催者側と認識をすり合わせることが重要です。
振り返りに使うため
グラレコを行った場で話された内容や空気感を振り返るときに使うことを目的として作成します。この場合、どのようなことを振り返りたいかということが重要になってきます。例えば要点や話の流れを重視した振り返りを行いたい場合は「要点を整理するため」で記載したような点を重視する必要があります。
一方で、その場の雰囲気や参加者の気持ちを重視した振り返りを行いたい場合は、多少見づらくても形や色や表情を通して、その場の空気感を残すことが重要です。空気感を残すという点では、要点を綺麗にまとめて記載していくことよりも、リアルタイムでその場の勢いや空気を残していくという心持ちで望めると良いでしょう。
何を振り返りたいか、に応じたグラレコを作成しましょう!
思い出として残すため
グラレコを行った場そのものを、思い出として残すために作成します。講演や話し合いの場は目に見えず、形のある”思い出”として残すことは難しいです。また集合写真をとることは可能ですが、対話の内容そのものを形として残すことは難しいです。
そこで、グラレコを用いることで、その場の空気感や話の内容を1つの形として思い出にすることができます。継続して行うイベントの場合は、毎回のグラレコをアルバムのような形で保存することも素敵かと思います。
拡散のきっかけにするため
イベントについて発信する際に使うために用いることを目的として作成します。SNSや広報誌等で、グラレコを行った場の紹介や拡散をしたい場合、写真だけではなくグラレコも添えて発信することで、そこで行われた対話の内容や空気感が、より伝わりやすくなります。
拡散を目的として作成する場合、作成したグラレコに誤りがないか、講演者の意図と違った意味に捉えられるような表現はないか、拡散を希望しない内容が含まれていないか等を主催者と確認することが重要です。
予め、主催者や参加者と完成したグラレコを拡散しても良いかどうか、認識を揃えることが大切です。
ツイートのグラレコは、インバウンドサミット2021のグラレコを行ったものです。オンラインでの開催だったため登壇者、参加者、非参加者に届くように作成しました。
対話のきっかけにするため
グラレコを作成している途中や、場のまとめに入るタイミングで、グラレコを用いて、参加者同士の対話や交流を促すために作成します。休憩時間やその会の終わりに、グラレコの周りに集まることで「この話したよね!」「これってどういうことだっけ?」といった会話が生まれやすくなります。
また、自分が話した内容が見える形で残るということは、発言が大切にされるといった安心感を醸成することにもつながります。グラレコは、誰の発言であっても等しく平等に絵になるため、誰が言ったかではなく何を言ったかが重視されます。上限関係や人間関係を取っ払って、1つの意見として尊重されるため、場作りにも役立つ手段だと言えます。
誰かに伝えるため
対話や会議の内容だけではなく、思い出や感謝の気持ちを伝えることを目的として作成します。例えば、カップルの出会いから結婚に至るまでの思い出エピソードや、上京前の家族との思い出、母の日の感謝の気持ちといったものをグラレコとして形に残すこともできます。また、ご自身の人生や目標、ありたい姿とそれに紐づく過去の経験、社会人人生の振り返りや旅や留学の思い出など、その人自身の体験を残すことも素敵です。
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自己満足のため
ただただ、自己満足のためだけに作成する。誰に見せるでもなく、誰かのためでもなく、自分が描きたいから描く!といったグラレコです。どんなグラレコよりも自由で、あなたがあなたのためだけに描きたいものを描くことが正解です。何か目的を達成させるための手段としてのグラレコも素敵ですが、グラレコをすること自体が楽しくて、グラレコをすること自分が目的となっても良いのではと思います。
もちろん他にも様々な目的があると思います。どの目的が良い悪いといったことはなく、大切なのは、自分がどのような目的で行うのかを明確にすることです。
受け取り手別に見るグラレコの特徴
ここでは、見る人、つまりグラレコの受け取り手に関する内容ごとに整理していきます。完成したグラレコを誰が見るのかによって、目的や効果が変わります。
講演者に向けて描く
講演会や授業など、講演者や話し手がいる場合に、話し手に向けて描くことを意識して作成する場合です。会議室やホールなどで講演や授業が行われる場合は、講演者が見える位置にホワイトボードや模造紙を貼ってグラレコしていきます。
話し手は、話した内容が絵になっていくという体験を得ることができます。また、講演者へのお礼としてプレゼントすることも可能です。グラレコを見ながら話すことで、頭の中が整理されやすいため、普段とは一味違った内容を引き出すこともできるかと思います。
参加者に向けて描く
場に参加している人に向けて描くことを意識して作成する場合です。参加者同士の対話がメインで行われる場合や、参加者で一緒に場を作っていく場合、また講演等の話を聞いて感想や意見をシェアする時間がある場合に有効です。
グループワークを行う場合は、すべてのグループの話を聴くことができないため、グラフィッカーがそれぞれのグループを回って感想をピックアップして記載していくことも可能です。参加者は、グラレコを見ることで他のグループで話されていた内容を知ることができ、別のグループとの対話のきっかけにすることも可能です。
対話やグループワークがメインの場のグラレコ事例は【グラレコ記録】絵で振り返るBeyond the Border展でご覧いただけます!
自分に向けて描く
授業や講演、読書記録など自分が振り返りに使うことを目的として作成する場合です。ご自身がどういった目的でグラレコを利用したいかに応じて作成方法を変えるのも良いでしょう。自分に向けて描く場合には、場の記録だけではなく旅先の思い出や1日の思い出といった体験を残すことも味があって面白いですよ。
私はグラレコをはじめたばかりの頃、旅での生活を毎日1枚の絵として作成していました!絵をきっかけに、他の旅人との会話が生まれることもありグラレコが持つ可能性を感じる体験にもなりました。
全く知らない人に向けて描く
グラレコする場の存在や、イベント自体を知らない人に向けて描く場合です。主に広報を目的として描くことが多いでしょう。またイベント自体の内容だけではなくグラレコ自体に興味がある人とつながるきっかけにすることも可能です。
ここでの注意点は「拡散のきっかけにするため」でも触れた通り、全く知らない人が見ても誤解を招かない内容となっているか、誰かを傷つけるような内容ではないか、といったことをしっかり確認することです。
非参加者に向けて描く
グラレコをする場の存在自体は知っているが、参加できなかった人や気になっていたけど都合がつかなかった人といった人に向けて描くものです。所属している学校やコミュニティ内での開催報告として使われる場合が多いです。
このような場合、グラレコの開示範囲が知り合いに限定されるため、個人名やより具体的な内容が描きやすくなります。参加できなかった人も、その場で話されたことを掴むことができるだけでなく、空気感を感じられるきっかけになるかと思います。また、次回以降の参加を促すことも可能です。
描き方別に見るグラレコの特徴
ここでは、描き方、つまりグラレコの作成方法に関する内容ごとに整理していきます。目的や誰に対するグラレコなのかによって、描き方自体も変わります。
「これまでしっくり描けたのに、今日は上手く描けないな」「なんだか今日はグラレコが進まない」そんな時はもしかしたら、目的に対する描き方が適していないのかもしれません。
話の流れがわかっている
グラレコを行うべき対話や会議、講演の話の流れが分かっている場合です。大体どのようなことが話されるのか、要点はどこなのか、どのようなパートに分かれて話が進んでいくのかといったことが事前の打ち合わせ等で分かっている場合は、紙の配置や構図を予め考えておくことができます。
講演会で依頼される場合など、公式的に使われる場合や要点を整理することを目的として依頼される場合は、事前の打ち合わせで話の流れが分かる状態にしておくことが重要です。
話の流れがわからない
対話形式で進んでいく場や、テーマだけ定められていて何を話すかは自由といったような場におけるグラレコの場合です。一方的に決められた内容で進んでいくのではなく、参加者の状況や場の状況に応じて進んでいくため、グラレコも完成するまでどのようなものが出来上がるかはわかりません。大切なのは、無理にまとめようとしないことです。話の流れがわからないからこそ、その場その場の意見を上手く抽出して描くことが重要です。
また、講演や授業のグラレコにおいて、話の流れをわからないまま、ある程度の整理を求められる場合もあります。そのような場合は、聞いてすぐに描くのではなく、話のまとまりを聞ききってから、要点を抽出して描くことをおすすめします。先が読みづらい場合は、焦ってすべて描こうとしてしまいがちですが、焦らずに落ち着いて話の流れを掴みながら描けると良いでしょう。
感情をメインに描く
その場であふれる感情をメインに描く場合です。雰囲気を残したい場合に有効です。要点を整理するという点においては、グラレコ以外にも有効な手段はあるかと思います。ただ、感情や空気感を残しつつ内容も残すという点は、グラレコならではの強みだと思います。
このような場合は、無理に言葉で説明しようとはせず、色や形を使って雰囲気を表すことをおすすめします。ネガティブな感情もポジティブな感情も、どちらも大事に扱うことがポイントです。
情報をメインに描く
感情を中心に描くこととは異なり、情報をメインに描く場合です。講演や授業だけではなく本やYoutubeの内容を整理する際にも用いられます。ただ情報を整理するだけであれば、グラレコである必要はなく、文字だけでも良いでしょう。
一方で読みたくなるような形、見返したくなるような形、とっつきやすい形という点においては、グラレコの強みを活かすことが可能です。情報をインプットし、要点を抽出してグラレコしていくことは、グラレコのスキルアップにもつながります。
知っている内容を描く
自分の研究分野や得意とする領域、既に何度か話を聞いたことがある場合のグラレコです。既に詳しい領域だと、話の要点や流れをつかみやすいだけでなく、次にどんな話がされるのか先の見通しを立てやすいです。また、何度か描いたことがあるものであればイラストやアイコンも慣れ親しんだものを利用することができます。
スピードも質も高いグラレコを作成することがきますね。また、はじめは初心者でも、地方創生や旅行業界など、似たような内容の依頼を受ける回数が増えれば、得意分野を作っていくことが可能です。
グラレコの中でも得意分野があると、依頼する側も依頼しやすくなりますね!
知らない内容を描く
知っている内容とは反対に、はじめて聞くものや知らないものについて描く場合です。使われる単語の意味が分からない場合や、知らない言葉が多いと調べながら描くことになるため難易度があがります。
講演会や会議など、事前にタイトルや大まかな内容が分かっている場合は、少しでも予習しておけると安心かもしれません。また、知らない内容を描く場合は、その場で使われているスライドや説明資料も参考にしながら描くと、グラレコしやすくなります。
知らない内容を描く場合は、内容理解に集中する必要があります。そのような際には、頭を使わずにアイコンを描けるスキルが必要です。グラレコでよく使うアイコンについては【保存版】グラレコのアイコン一覧でもまとめているので、ご参照ください!
自分の手元で描く
ノートやiPadなど、手元で作成する場合です。周りからの目を気にせずにすむので、集中しやすいというメリットがあります。また、手元で作業できるため細かい作業がしやすいことや、消して描き直すことができるという点もメリットかと思います。
一方で、どうしても小さいサイズでの作成となるため、ダイナミックさには欠けてしまいます。iPadの場合は、会場やオンライン上で画面を写しながらリアルタイムで作成すると良いかもしれませんね。
みんなの前で描く
会議や講演会など、1つの会場に人が集まって対話する場合に有効です。会場の壁に模造紙やホワイトボードを貼り、リアルタイムでグラレコを作成していきます。
参加者も講演者もグラレコを見ながら場に参加できるため、場の空気をつくることにも貢献できます。会が終わったあとに、参加者が集いやすいのも大きいグラレコならではですね。一方で、大きく描いていくため細かい修正や描き直しがしづらいという点が弱点です。
まとめ
- グラレコの意味とは?
- 目的に応じたグラレコの種類とは?
- 理想のグラレコってなんだろう?
この記事では上のような内容を中心に、目的・見る人・描き方別にそれぞれの特徴を整理してきました。一言でグラレコといっても、作成する目的は場合によって様々です。何か1つの形が正解なのではなく、求められている目的に応じた描き方で作成することが大切です。それぞれの特徴を捉えることで、より納得度の高いグラレコができるかと思います。
あなたのグラレコライフが楽しいものになりますように!